メイド喫茶と風営法とか…続き。

 ここ数日の展開が色々急で、
しかもそれほどメイド喫茶(メイドカフェ)に詳しくないので
正直しっかりとした文章を書くほど余裕がありません。
ただ、なんとなく、この文章は気になってたのでリンクしておきます。
 


2000年に突如登場した、
日曜限定(当時)でフロア従業員が全員
オタクコスプレ女性になってしまうという
直球勝負な居酒屋「蔵太平山」が、
男性向けのサービス業としての「コスプレ(メイド)店員」を
確立させたと、私は思っております。
 
蔵・太平山愛好会
http://www.sarinaga.com/kura/
 
この「蔵太平山」は店長が元アニメ業界関係者で、
そこで働く従業員の女の子も
現役レイヤーや声優養成所の生徒などが集まっており、
アニメやゲームに対して非常に詳しく、
かつ自身もオタクであるという強みで、
来店するお客の心をガッチリと掴んではなさない
営業姿勢が非常に印象に残っています。
 
余談ですが、オープン当時の常連で
オタク業界にも詳しい某大物ゲーム開発者の方は
「風俗でもない、ただの居酒屋でもない、
このオタクの心の隙間を付いた『ニッチ産業』は、
近い将来必ずブレイクする」と
現在の状況を2000年当時に
力強く予見していたのには驚かされます。

この「蔵太平山」の
「風俗ではないが、
女の子とコミュニケーションを取りながら
お酒が飲めるオタクの隠れ家的空間」
という方向性の成功が、
単発企画モノではない「飲食業」としての
オタク向けサービス業の基礎を完成させ、
現在の「メイド喫茶」に重大な影響を与えています。


http://multi.nadenade.com/shinichi/archives/2005/10/post_31.html
『神聖マルチ王国』「メイド喫茶風俗営業 その3」
 

 
 今時のメイドカフェのルーツになるお店が
茶店ではなく「居酒屋」ベースだったことはポイントになりそう。
 

 いわゆる「ケツ持ち」や「黒服」は、
「女性を守る」といいつつ、その売上を掠めている訳だ。
決して誉められる仕事ではない。
だが、そのためには命も削る覚悟が必要だし、
細かい心配りも求められる。
 
キャバクラで言えば、
フロアで相手にしたくない客がいるとなれば、
そのお客からの指名を早々に切り上げたり、
終電が無いとなれば(それが違法行為だと理解しつつも)お店の車で送迎を出したり、
しつこく付きまとうお客が居れば、女の子が働く店をチェンジしたり、
「強面のお兄さん」と共に「大人の話し合い」の席をもうけたりするのだ。
 
ヤクザの存在は決して誉められたものではないが、
迷惑防止条例」が制定されるまで、
こうしたトラブルから女の子を守る術はヤクザに頼るしか無かったのだ。
警察は基本的に「民事不介入」で、
実際に女の子が襲われ刑事事件にならなければ
相談すら受け付けてもらえなかったのだから。
 
それでもなお、女の子の側にリスクはある。
だから、水商売では罪滅ぼしに(一般の水準から見て)高い給料を支払う。
その金額が「リスクに見合った」額ではないことを承知しながら。


http://d.hatena.ne.jp/Hayashida/20051024/1130167884
『ゲームセンターに明日はあるの?』
「言っとくがな、相手は生身の女の子なんだぞ!」

 
 なんか、「ケツ持ち」「黒服」など管理側のことについて
すごく重要な、肝心なことをわざと書いてない気がしてました。
 
 「ケツ持ち」「黒服」にお金を払うのはお店です。
女性従業員個人が直にお金を払うのではありません。
 彼らは現場で働く従業員たちの行動や仕事ぶりも
常時「監視」「管理」したり、システムによって
店外での行動をチェックしたり*1します。
このような行動の積み重ねは、高品質な従業員の定着率向上に繋がり、
そのことがお店にとってのイメージ向上にも繋がります。
(このシステムが、
女性従業員にとっていいことなのか悪いことなのかは、
水商売にそれほど詳しくないので正直わかりません。)
 
 あと、Hayashidaさんの「守る」って言葉の使い方には、
時々怖く感じることがあります。
"今時のフェミニズム"とかジェンダースタディーズとか
(凄く広義の意味での)性の問題とか"労働"についての
見識は無いんだろうなぁ。たぶん、Hayashidaさんは
インリン様とかGoldFinger*2が理解できないと思う。
 
 
 
 で、せっかくですからここにもリンクしておこう。
本文エントリーよりもコメント欄に注目。http://d.hatena.ne.jp/kanose/20051026/maidcafefiction
『ARTIFACT@ハテナ系
「すべてのメイド喫茶が水商売であるかのように言うのは、
いくらフィクションと銘打っていても
メイド喫茶関係者に迷惑−メイド喫茶風営法−』
 

*1:「送迎」を行うことによって、閉店後の従業員の店外行動を店がある程度管理できる。終電がなければ全員にタクシーチケットを渡すという手法もあるのだけど、そこはコストダウンなどのために店の送迎車を用いる。

*2: http://www.goldfinger-party.com/