ゲイの間で脱法ドラッグがあれだけ流行ったのは…

http://www.pot.co.jp/fushimi/2006/06/02/euaiaadh-30/
伏見憲明・公式サイト:伏見徒然草 30


話しは跳ぶようだが、
ゲイの間で脱法ドラッグがあれだけ流行ったのは、
セックスの興奮を高めるという作用ばかりでなく、
中年ゲイたちが性的存在であり続けるために、
薬物による底上げを必要とした側面もあったように想像する。
極端に言えば、性的であろうとすれば流動的な性関係に身を置くことになる。
しかし心身の力が衰えていく年代になって、
見知らぬ他人と交わっていくには、それなりのテンションが必要だ。
その点、セックスドラッグは行為への敷居を下げる
都合の良いアイテムでもあった。
 
性において自己形成していったゲイには、
自分の拠り所がセックスにある者は少なくない。
性的であることにアイデンティティが根を張っていると、
セックスが弱くなることへの大きな不安がある。
だからバイアグラのような薬物ばかりでなく、
セックスドラッグへの依存も強くなる。
つねに自分にセックスへの高いモチベーションを維持しようとするのだ。
そして、そういう自分に安心しようとする。
「ゴメ紀」以降の薬物依存の問題には、
中年のゲイがどう性的な自分と折り合いをつけていくのか、という
エイジングの陥穽も絡んでいる。