第8回GID研究会@福岡国際会議場に参加してきました。

 最近どうしようもなく貧乏神に居着かれているわたし。

 あ、貧乏神ってのは花粉症のことです。スギ花粉死ね死ね死ね。
治療費とかお薬代とかで月に1万円以上計算が狂うからなぁ…。

 飯の種でもあるヤフオクの取引入金が一週間ずれてしまい、
なんと研究会の参加費用が財布の中に無かった(マジ泣)ので、
前日夕方にまんだらけ福岡店などで手持ちのオタグッズを色々売って、
研究会の参加費用を捻出したのはここだけのないしょです。
懇親会も、参考になるし、盛り上がるんだろうけど、迷ったけど不参加。
(今思うと、無理して懇親会参加しておけばよかったかもと後悔。)
「あたしゃ、貧乏に、負けた〜。
お金がなければ自分の性別も買えないのよ〜。」
 
 それなのに、当日朝起きたら、気が付いたら9時でした(寝坊)。
あわてて自転車こいで、パンとコーヒー飲んで会場入り…
のはずが、間違って隣の福岡サンパレスに(汗。
あわてて隣の福岡国際会議場に入って、エスカレーター登って、
会員登録して、入場したらいきなり三橋順子さんの発表でした。
会場にいたのは300人〜400人程度。
(追記:もっと少なかったらしい)。
わたしの予想よりずっと多かったので、ドキドキ。
 
 以下、手元のメモからいろいろ箇条書き。
後半になるほどメモが適当になってます(汗。
あまり信頼しないでください。
 
一般演題2
 
三橋順子:日本最初の「性転換手術」について
 着物が似合ってました。永井明子さんの手術+戸籍変更について。
1950年〜51年にかけて、精巣除去・陰茎除去&造膣、豊胸手術
手術の名目は「陰茎癌」、手術完了時点で27歳。
1953年に戸籍変更、参男から二女へ。名前も「明」から「明子」へ。
手術後はキャバレーの歌手として各地を巡業したとのこと。
 
 ほかにも、ブルーボーイ事件までの間に20数例の報道事例があるとのこと
報道は興味本位ではあるが、おおむね好意的とのこと。
当時、手術後の勤め先はお水(ニューハーフ)などではなく、
歌手や華道の先生など芸能系が主だということ。
お水系が主になるのはは1970年代以降だとか。
 
追記:三橋順子さんにご本人の手によって発表要旨が公開されてます。
ぜひご覧下さい。
http://plaza.rakuten.co.jp/junko23/diary/200603190000/
 
第8回GID研究会 一般演題 発表要旨…  
・佐々木掌子:ホルモン療法、手術療法とジェンダーアイデンティファイ
FTMでは身体への治療がジェンダーアイデンティファイに変化を及ぼすが*1
MTFではジェンダーアイデンティファイは変化無し…?
 これは正直、よくわかんない。
 
・櫻庭京子:Transsexual voice therapyにおける話者性別推定技術の臨床応用。
 ぶっちゃけ、「女性声度」判定ソフト。
周波数成分を分析することで、8割方当たるそうです。
実用的だし、デモも面白かったし、なによりこういうソフトを
GIDの発声トレーニング(や、リアルな現実晒し)に使うという発想もいい。
しかし、最初やったら順女の人でも「78%女性」というデータが出ていたり、
「話し方」とか口調の判定はまだまだ無理っぽい。
 
 質疑応答でも声楽経験者だと「フィードバック」が早いとか
いろいろ面白いことを聞けました。
 
・伊東聡:FTMサポート10年の歩みと諸問題。
 
 スライドの比喩があまりに面白すぎてワラタ。
「大門軍団(ガイドライン以前、親分中心の閉鎖系)」
>「ゴルゴ13ガイドライン第1版〜。)」
>「のび太(ガイドライン第2版〜。依存あり、広報的役割。)」
>「鶴本直(after金八先生〜、閉鎖的でネット系)」
なんだそうです。
 
 九州地方の場合、5年〜7年程度時代が遅れているとか
10年経ってもみんな現役で精神療法中だとか、
治療が「わかりやすい当事者」に集中するとか、
これから保険の治療費引き締めが進むだろうから
治療前の当事者はつらくなるだろうなぁとか、
笑いを取りつつも結構シビアな話も出てきました。
 
・小坂正美:職場におけるカミングアウトの一例
 中規模の同族会社の場合は社長を落とせばなんとかなるとか、
女性社員に相談したときは相手がBL好きだったので理解が早かったとか、
活字情報を見せて説明すると説得しやすいとか、
うわさで不正確な情報が伝わるよりは
カムアウトして正確な情報を伝えた方がいいとか、
女性社会にうまく溶け込むことが必要だとか、
仕事に独自スキルを持っていると立場が強くなれるとかいろいろ。
もちろんカミングアウト失敗例もあるし、
精神的なタフさはかなり必要だとか。 
 
 
 一般演題3は聞いていたけど、FTMの施術の話がメインなので記述はパス。
FTMで膣閉鎖しない場合、日常生活ではほとんど膣の存在を意識しないが
バルトリン腺が残るので、Hするときに膣分泌液が出てくるってのは
意外な盲点でした、これ、心理的には凄く嫌だろうなぁ。
 
 
 一般演題4は、卒論でもメインで取り上げた子無し要件について。
 クローバーの人の発表の話し方が上手だったこととか、
公的な「性同一性障害手帳」ってのがあれば便利かもよという話とか、
MTFの人が性別変更したら、女性賃金扱いになって
給料が下がった!*2とかいろいろ。
 
 
 シンポジウム1「GID特例法の改正に向けて」
 
 康純さん(大阪医科大学神経精神医学教室)
近年の医療技術の進歩による凍結精子・受精卵を使えば、
特例法の「生殖腺〜」を満たしても子どもが作れることは、
当事者たちはもう少し注目されてもいいのでは?*3
 
 大島俊之さんの発表の後、質疑応答。
 養子縁組とGIDの話が出てきたのは興味深かったです。
(ゲイやビアンの結婚の代用として用いられている)養子縁組を行っていた
GID当事者が戸籍上の性別を変更した時に、
パートナーとの養子縁組を解消して婚姻届を出すことができるのか?
大島さんも「結構な難問です」と答えられてました。
 
 実は、子無し要件の法律的な問題については、
MTFの場合十分あり得る、しかしちょっと自分は想像したくない、
ケースをひとつ質問しようと思っていたんだけど、
時間も押していたので止めておきました。
 
 この後、どうしても外せない用事があったので、中座して数時間ほど天神へ。
自転車すっ飛ばして(途中信号無視数回)戻ってきたら
イブニングセミナー2は10分押しでした。
もう少しゆっくり移動すれば、冷や汗書かずに済んだのに。
 
 イブニングセミナー2は針間克己さんの方へ。
(参考:http://d.hatena.ne.jp/annojo/20060319/p1)
最初会場に入ったら、えらく人数が少なかったんだけど、
じわじわ人が増え始めて、席が足りなくなる状態に。

発表自体は、写真の使い方にこだわりがあるようで、
写真をネタにしたつかみで結構受けてましたw。腹筋画像イカス!
 
 改名する際、家裁に出す証拠として、
自分の望む名前で長期間生活していることを「電子メール(の写し)」で
証明できるってのには驚きました。堀江メールじゃないけど、
電子データって、やろうと思えば、結構偽造や改竄ができるので
証拠として使うのはなんだかまずいんじゃないかなぁ?
それとも、「堀江メール」以前で、その辺りのツッコミがゆるかったのかな?
 
 セミナー終了後に部屋の外に出ると、
会場ロビーからは赤く染まる博多港にとてもきれいな夕日が。
セミナー終了後、この夕日を眺めていた方が数多くいました。

撮影時に露出設定をやりすぎて、ちょっと夕日が赤すぎるんだけど、
そこはイメージ画像ってことでご了承くださいw。
 

*1:ジェンダーアイデンティファイが強い人だけ身体への治療に進む?とも考えられるかも。

*2:なんか、これは、ちょっとまずいんじゃないんだろうか?

*3:これ、自分も卒論でも取り上げたので、かなり気になってます。